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山村体験-2 [権じいの村-5]

「えっと、このカーテンは、この窓ね…。」
「みんな~、お茶にしない?」
「は~い。」

「搬入の子たちが分かりやすく置いていってくれたから、私たちの作業も楽よね。」
「千恵さんたちの下準備もしっかりしてるから。」
「部屋の雰囲気…、私の感覚だとかなり地味だけど…、それなりにまとまっていますね。」
「落ち着いた感じがするわ。」
「でも、もう少し華やかさがあっても…。」
「ふふ、私たちが住む訳じゃないからね。」

「千恵さん、良いよ、さすがだ。」
「慶次さんにそう言っていただけるとうれしいです。」
「この家は俺たちの次のステップ、その第一歩だからな。」
「第一歩なら、建物はともかく家具とかは新品の方が良かったのではありませんか?」
「はは、純ちゃん、きれい過ぎず、質素過ぎずってことも大切なんだよ。」
「どういうことなのですか?」
「ここは、都会の生活に疲れた、まぁ、お金のない人たちに、山村での生活を体験していただくための家なんだ。
ここでの生活体験の後、できればそのままここで暮らして欲しいと思っている。
だから、そう思ってくれそうな人を中心に募集して人選をしてる。」
「だったら、新らしい生活に向けて…。」
「心理的な問題があってね、きれい過ぎるとプレッシャーを感じる人もいるし、落ち着かない人もね。
こんな家に住んでみたいという人が、ここには調度いいのさ。
君たちとは感覚が違うと思って欲しいかな、まぁ色々な人がいるってことだよ、世の中にはね。」
「そうなんですか…。」

「慶次さん、ここには三人で暮らしていただくのですよね。」
「うん。」
「家の広さとか考えたら、もっと多人数でも良さそうに思うのですが。」
「そうだね、状況を見て五人とかに増やすかもしれないけど。」
「三人…、奇数、ということに、何か理由が有るのですか?」
「ここで山村体験をしていただく方々に横のつながりはないんだ、だから知らない人との共同生活から始まる。
独りでは心細いだろうからね。
初対面と二人だけでは落ち着かないだろうし、四人では二人ずつのグループで固定してしまいかねない。
五人になると、一人で四人の他人のことを考えなくてはいけなくなる。」
「でも四人ぐらいのことなら普通、問題ないのではありませんか?」
「そういう人もいれば、そうでない人もいる。
ここでは、まずはゆったりとした気分になって欲しいからね。」
「あっ、もしかして、ここでの山村体験って、調査研究の一部でもあるのですか?」
「ああ、そのことも理解していただいた人に来ていただくことになってるよ。」




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すぅ〜ちん

こんばんは★
新連載、続きが愉しみです(o‘∀‘o)
過去の連載も、じんわりと拝見させていただいてます m(u_u*)m
by すぅ〜ちん (2008-12-04 19:26) 

おにい

ありがとうございます。
もうすぐ年内分か書きあがるところです。(笑)
by おにい (2008-12-04 21:19) 

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