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香織-5 [権じいの村-3]

「え~っと…、たしかこの辺りの筈なんだけど…。」

「香織さ~ん。」
「あっ、あそこで手を振ってますね。
畑で何をしてるのでしょう?」
「行きましょか。」
「はい。」

「ここでは何を?」
「畑の調査です。
畑の面積、何が植えられているか現在の状態といったことを確認しています。
あそこで、おばあさんと話してる子は聞き取り調査、今の季節以外の時期にはどんな作物を作っているのか、どれぐらいの収穫があってそれをどうしてるか、と、いったことです。
調査をお願いしたら、あのおばあさんは快く受けて下さって…、それだけでなくて明日は三食、おばあさんの所でいただくことになりました。」
「おそねばあちゃん、独り暮らしだから…、喜んでみえたでしょ、ふふ。」
「はい。」
「でも、きっかけは?」
「食生活の調査もしてるんです、彼女の専門なんですけど。
朝は何をどんな風に食べてるかといったこともお聞きしたいのですが、とお話ししたら、なら実際に食べていけば良いって。
慶次さんたちと小春ばあちゃんのことも思い出して、お願いすることにしました。」
「じゃあ明日の予定は少し変わるのね。」
「はい、真帆さん。」

「おそねばあちゃん、お久しぶり、お元気そうね。」
「おお、香織ちゃんか、父さんたちはどうしとる?」
「はい、こっちへ来る前に寄ったら、元気にしてました。」
「香織ちゃんは町で独り暮らしなんじゃろう、どうじゃ大変か?」
「あれっ、どうして知ってるの。」
「香織ちゃんが若い人たちの手伝いに来てるって、そうじゃな、噂のまとじゃぞ。」
「へへ。」
「どうじゃ、良い男、おったか?」
「いやだな~、ばあちゃんたら、そんなんじゃないわよ。」
「結婚してここに帰って来て欲しいがの。」
「はは。」
「まあ無理なんじゃろうな。」
「う~ん。」

「おばあちゃん、こんにちは。」
「はいこんにちは。」
「私はこの子たちの調査責任者のひとりで山神真帆と申します。」
「大学の先生かね?」
「はい、今回は色々協力していただきまして有難うございます。」
「なんのなんの。」
「明日もこの二人がお世話になるそうで…。」
「ええって、久しぶりに若い子たちとごはんできて、わしの方が楽しみじゃな。
ほんとはご馳走してあげたいんじゃが、普段食べてる物じゃないとだめなんだそうでな。」
「はい、調査の一つなので、よろしくお願いします。」




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