歴史-1

「はぁ～。」
「どうしたんだ、智也？」
「あっ、父さん、テスト勉強さ。」
「飽きたのか？」
「うん歴史、暗記はそんなに苦手じゃないんだけど、なんでこんなに覚えなきゃいけないのかなって思ってさ。」
「はは、智也、歴史の教科書出してみろ。」
「うん、ここにあるよ、小学校の教科書に比べたらずいぶん厚くなった。」
「でもな、それは簡単な目次に過ぎないんだぞ。」
「目次？」
「地球上で人間がしてきたすべてのこと、まぁその中でも、人間の社会を変えてきたことを全部本にしたらどうなると思う？」
「原始時代から？」
「ああ、その教科書に名前が出てくる人だけが、この人間社会を動かしてきたわけじゃないと思わないか？」
「う～ん…。」
「この地上に生まれ、生き、そして死んでいった、数多くの人たちのことを考えてみな。」
「う～ん、何人になるか想像もつかない。」
「だろ、その薄っぺらな教科書なんて、とてつもなく簡単な目次でしかないわけさ。」
「でもさ…。」

「あっ、そろそろ晩飯みたいだな、母さんが呼んでるぞ。」
「うん、もう腹ペコだよ。」


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hiromichi BY HIROMICHI NAKANO