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マネージャー-7 [Lento 8,マネージャー]

「そろそろ食事にしましょうか。」
裕子の母の問いかけに一同頷き席を移動し始める。
普段、家にいない裕子の兄たちも、そして裕子の両親に祖父母も同席しての昼食会、主役はやはり和音たちの筈、だが和音はなぜかチェンバロからピアノに移動して、演奏を始めた。
チャイコフスキーの四季から舟歌、そしてトロイカへと変わっていく。
席に着いた者たちはその演奏に聴き入る。
飲み物を運んできた女の子も足を止めている。
それを嗜めようとしかけた裕子の母も表情をゆるめて…。
トロイカが終わったところで、祥子が和音の元へ。
「ほかっといたら何時までもピアノ弾いてますから。」
「あ~、ずっと聴いていたい、トロイカがこんなに優しくて素敵な曲だったなんて知らなかったわ。」
裕子の母の言葉に反対する者はいる筈もない。

しばらく紹介や挨拶が続く。
そこへ案内されて、真子が川野と共に入ってくる。
その瞬間、一同の目が二人に釘づけに。
なにげに立っている二人の姿が、そのままファッション誌の表紙を飾ってもおかしくないレベルだったからだ。
「うわ~、素敵なカップルね。」
裕子の母の言葉をきっかけに場は一気に盛り上がる。
「真子、素敵よ。」
「今度はモデルデビューなの?」
「それにしても、う~ん、絵になっちゃうのね~。」
マネージャー達も美人揃いだ、おしゃれにも気を配っている。
だが、今の真子達の前では何かしらの差を感じている。

「ふふ、直美さんのコーディネートなんですよ。」
真子が皆の気持ちを察してネタをばらす。
「えっ? 直美の? 衣装係りってことになってるけど…。」
真紀はとまどっている。
「今回は深まり行く秋をイメージしてみたんだけどね、まあご覧の通りモデルが良いからまとめやすかったわ。」
と、直美。
「ちょっと直美、これがあなたの実力ってこと? そう言えば直美自身は地味目な服が好きよね。」
と美帆。
「まあね。」
「今度、私の服もコーディネートして欲しいわ。」
「それはもう予定に入ってるのよ、裕子。」
祥子が話し始める。
「2月の演奏旅行はテレビ局のクルーが同行取材という形になりそうなの。
で、桜庭さんがね、ついでと言ってはなんだけど美人マネージャー軍団として私たちも取材対象にしたいとかでね、ならば直美のコーディネートで、びしっ、と決めたいと思ってるのよ。」
「それにしても衣装係り、直美って聞いても、いまいちピンとこなかったけど、こうやって見せられると尊敬してしまうわね。」
と、桜子。

「あら、男性陣がお待ちかねですから、そろそろ昼食会を始めましょうか。」
裕子の母に促されて皆が席に着く。


 フジ子・ヘミング トロイカ

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