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柳原真子と柳原咲江-2 [Lento 6,DVD]

モニターの画面はドビュッシーの子どもの領分のグラドゥス・アド・パルナッスム博士に変わっている。

「真子すごいわ、曲とぴったしじゃない。」
「でしょ、子どもの領分は一曲ずつ撮ったの、まず和音の演奏を聴いて、それからイメージを膨らませて、お客様の前で本番って感じ、この曲は三回踊って最後のを選んだのよ。」
「さすがに一発でとはいかなかったのね?」
「最初のでもOKは出たんだけど、もっと良いのが踊れそうだったから、ちょっとね。」
「少しは練習したの?」
「本番を三回もやったのよ。」
「そういうものなの?」
「うん、三回も踊ったのは、一回目の私の踊りを見て和音が演奏を変えてみようかって、少し話し合ってから二回目、私がもう一度踊りたくなって三回目って感じなの。
午前、昼過ぎ、夕方と、同じ日に三回だったんだけど、全部見てたお客様もいてね、やっぱり三回目が一番良かったって言って下さったわ。」
「同じ曲でクレームはなかったの?」
「まさか、逆に同じ曲の違った踊りが見れて面白かったって声もあったのよ。」

映像が変わる。
「あっ、この象のぬいぐるみ、お父さんに買ってもらったものよね。」
「そうよ、題が象のこもり歌だからさ。」
「これ見たらお父さん喜ぶわよ。」
「ふふ。」
「それにしても、衣装とか一曲目と全く違うのね。」
「元々、特に繋がりのある曲集じゃないから全部違った雰囲気にしようってことになったの。」

「今度は人形へのセレナーデよ。」
「はは、真子がちっちゃかった頃を思い出すわ…。
バレー教室から帰って来ると、人形相手に踊ってたわね。」
「教室では自分の思った通りには踊らせてもらえなかったからなのよ。」
「でも、あの頃の基礎があって今の真子があるのでしょう。」
「そうね、何だかんだ言って高一まで続けてたからなぁ~。」
「何回やめたいって聞いたことか、でも、やっぱり続けるってことになって…。」
「まぁ色々あったのよ。」
「色々ねぇ~。」

画面が雪景色に変わる。
「この絵も茂根君の絵なの?」
「そうよ、暑い日に描いてもらった割りに…、いいでしょ?」
「そうね、真子が景色に溶け込んでいるわ。」
「描く前に、衣装を着て演奏を見てもらったからね。」
「ねえねえ、茂根君と和音さんとの仲はどうなってるの?」
「二人とも相手の才能に惚れてるからね、まあ適度にデートしてるわよ。」
「あなた、じゃましちゃだめよ。」
「のんのん、逆よ三人で遊びに行く計画を立てるのは私、途中で消えるのも私なんだから。」
「はは、恋のキューピットなのね。」
「故意のキューピットかも。」
「ははは、で、真子はどうなの、彼氏とか?」
「そうね、友達は沢山いるけどね…。」

「あら、この曲は?」
「小さい羊飼いという題なんだけど、自分としてはどうしても羊飼いと曲のイメージが結びつかなかったから、羊飼いが和音の演奏を聴いてるような感じにしてみたの。」
「そうなんだ、でも映像として良い感じに仕上がってるじゃない。」
「そこらへんは河津さんの力ってことかな。」
「プロの仕事ってことね。」
「ふふ、河津さんってね、存在感がないというか目立たない人なの。
それがねこのDVDを作ることになったことから、目立たない河津さんのことが話題になったの、スタッフの中でね。」
「えっ?」
「実際、河津さんを知らなかったスタッフも結構いたのよ、普段からLentoの中をうろうろしてるのにね。」
「そんなことって…。」
「ある意味不思議な人よねって感じで、みんなの話が盛り上がった翌日、やっぱり目立ってなくてさ。」
「はは。」
「そんな河津さんなんだけど、ちゃっかり和音ファンクラブの会員番号No.1をゲットしてるのよ、ファンクラブの話が出るずいぶん前から予約してたんですって。」
「結局和音ちゃんのファンなのね。」
「もし私のファンクラブが出来たら、ファンクラブの会員番号No.1は河津さんなの。」
「えっ、あっ、予約済みってことね。」
「うん。」


 ドビュッシー 子供の領分

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