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中村和音第二回定期演奏会-10 [Lento 3,演奏会]

演奏を終えた和音と真子は楽屋でその余韻に浸っていた。

楽屋に戻って、すぐ片づけをしようとしたのは真子だった。
しかし、そこをスタッフの女の子が止める。
「今日の真子さんの仕事は舞い踊ることだったんですから、しばらく休んでいて下さい。」
そう言いながら、彼女たちに飲み物や果物を用意している。
もう一人、衣装の片づけをし始めた子が続ける。
「Lento主催の演奏会では、必ずお世話係りが付くことになったんですよ、お姫様。」
「その、お姫様っての何とかならないのかなぁ~。」真子が照れくさそうに言う。
Lentoスタッフの一人、東沢健二が「俺の姫」と和音のことを表現したのが…、あっという間にスタッフ中に広まってしまった。
ゲスト演奏者、矢野たちも「我らが姫君たち」と観客の前で言っていたから、真子も覚悟するしかなさそうだ。

その東沢は今回、全体の総指揮を担当している。
第一回演奏会に引き続いてだ。
今回も、ロビーの準備、受付などの仕事はすべてLentoのスタッフで行われた。
もちろんLentoは休みではないから、店で働くメンバーと演奏会で働くメンバーとに分かれた訳だが、結局、店のシフトに入ってないスタッフは、ほとんど演奏会を手伝いに来ていたようだ。
多すぎるのでは、という声もあったが「今後のこともある」との一声で、多目のスタッフとなった。
三回目以降の定期演奏会のことや二千人規模のホールでの演奏会との構想も具体化しつつあるからだ。
次回はCDの販売もある、間に合えばDVDもだ、また二千人規模のホールになったら受付の混雑も考えられる。
演奏中も、東沢中心に次回以降へ向けての打ち合わせが、各部署の担当責任者、サブ責任者との間でなされていた。
何らかの都合で責任者が不在になってもサブが確実に仕事をこなせる様にというのが、この打ち合わせの目的でもある。
机上でやるより、実際の場でやった方が分かりやすいだろうという考えから、ロビーに人の少ない演奏中に、こっそりと打ち合わせをしていたのだ。

演奏が終わった今は客の相手をしているスタッフも多い。
Lentoの常連客たちは、会場に見慣れたスタッフの顔を見かけては声をかける。
スタッフたちはそれに気軽に応えている。
真子や和音に会いたいという客もいるが「我らが姫たちは少々お疲れ気味で、奥で休んでおります。」と、スタッフから返されている。
真子も和音もまだ慣れていない、特に今回の様に目一杯の演奏をした後で、客に気を使いながら話すのは酷というものだ。

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