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中村和音第二回定期演奏会-7 [Lento 3,演奏会]

休憩時間が終わって舞台に現れたのは遠山建夫、地元オーケストラのコンサートマスターをしている。
手にはバイオリン。
続いてチェリストの矢野巧がチェロをよっこらせと抱えて登場。
遠山が話し始める。
「皆さんこんにちは、自称、屋根裏のバイオリン弾き、遠山建夫と申します、こちらがさすらいのチェリスト、矢野巧で…。」
「矢野です、我らが姫君たちは先ほどの演奏で少々お疲れ気味でして、今日最後のステージは…、なぁ遠山さんよ、あの演奏の後じゃ完全におまけだよな俺たち。」
「ですな~、我々もプロなんだけどね〜。」
「でもここに居られて幸せだし、おたくもラッキーでしたね。」
「ほんと、先崎の代役でって…。」
「若手バイオリニスト先崎ってのが、今からの演奏のいつものバイオリン奏者なんですが、コンクールの日程と重なっちゃいまして…。」
「すきをついて私が…。」
「師匠が弟子の代役って感じですか?」
「良い弟子を持ったものです…。」

遠山たちが話しをしている間に和音たちの準備が整ったようだ。
まず和音が登場する。
純白のドレス。
会場から盛大な拍手が沸き起こる。
拍手が落ち着いたところで、真子の登場。
オーストリアの民族衣装を身にまとっている。
会場からの拍手の大きさは、先ほどの舞台の結果を物語っている。

矢野が語る。
「音楽の世界で舞曲という作品は数多く存在します。
しかし、それらが演奏会で演奏されても、実際に踊りが同時に演じられるいうことは、まずありません。
初めて真子の踊りを目にした時、私自身ほんとカルチャーショックという感じでした。
和音のピアノと一体となって真子が踊る…、先ほどの舞台をご覧になった方々に説明は要りませんよね。
今からの曲はオーストリア、ザルツブルグの、とあるお城で舞う真子をイメージして作曲したものです。
実は今まで何度か真子をメインに演奏してきたのですが、毎回舞いが違ってまして…、真子ちゃん今日も違うの?」
もちろん、という表情でうなずく真子。
「今日の演奏を一番楽しみにしているのは私かもしれません。」
そして和音の方を向いて確かめる矢野。
「そろそろ始めますか?」
にっこり微笑む和音。
「姫たちの準備も整った様ですので、オーストリア風舞曲、楽しんでいただけたら幸いです。」

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