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中村和音第二回定期演奏会-4 [Lento 3,演奏会]

クライスレリアーナの余韻が充分落ち着いたところで、柳原真子が静かに登場、子どもの情景が始まる。
舞台には椅子が置かれていて…。
真子は椅子に座るでもなく身を寄せ…、ピアノの演奏とは無関係に、ただ演奏を聴いている少女を自然に演じ始めた。
曲のテンポを全く無視しているようでいて曲になじんだ動き…、今の真子は、ダンサーというよりはアクトレスと言ったほうが適切であろう。
一つ一つの何気ない仕草が見ている者に様々な想像を抱かせていく。
「子どもの情景を聴く少女の情景」というのが今回の真子のテーマだ。
トロイメライ…、真子はゆったりとピアノに歩み寄る。
その姿だけで見ている者たちは恋する少女をイメージしてしまう。
和音の奏でる子どもの情景の中、真子は舞台の上に一つの空間、そう一人の少女の世界を創り出していた。
真子の存在感と和音のピアノが一体となって、今まで誰もが経験したことのない「子どもの情景」が完成していた。
曲が終わり鳴り止まない拍手の中、しばらく二人は動かなかった、自分たちの創り出した空間の余韻に浸るかの様に。
先に立ち上がったのは、和音だ、自ら拍手しながら真子の元へ、彼女の手を取る。
真子は、はっと我に返った様に立ち上がる。
そこで観客は始めて、今まで見てきた自然な光景が、演じられていたものだと、気づくこととなる。
さらに高まる拍手の中、休憩時間に入る。

ホロヴィッツのシューマン


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